整備業界も大変革期を迎える中、業界の当面の課題は特定整備制度への対応となっている。電子制御装置整備の認証取得状況は、各県整備振興会の積極的な取り組みによって中部(5県)が全国で最も進み、今後も先行的な進捗に期待が寄せられている。(写真=特定整備制度への対応として、各県とも整備主任者資格取得講習など順調に推移)続いて、点検基準の見直しに伴うOBDを活用した点検、車検証の電子化、OBD検査等々、課題が山積し業界の適切な対応が求められている。これらを踏まえ、今回は業界の今後の方向性について、中部各県整備振興会会長のご意見をお聞きし、紙上座談会としてまとめた。
――特定整備制度が施行されて1年を迎えようとしています。電子制御装置整備の認証取得が佳境に入る状況ですが、次なる課題については、どのようにお考えでしょうか。
川村保憲会長(愛知) 当面は特定整備制度への対応が急務です。その中で、電子制御装置整備の認証取得は会員の協力により順調に進んでおり、できるだけ早期に全会員が取得できるよう取り組んでいます。また、今年10月から新しい点検基準で、1年ごとにOBDを活用した点検が導入されます。スキャンツールの活用と診断料金の設定が極めて重要になり、健全経営の観点からも適切な対応が必要と考えます。
竹林武一会長(三重) 特定整備への対応に注力していくことが大事ですが、自動車はさらに進化していきますから、情報や技術力はどんどん高度なものが求められます。特定整備認証はあくまでも最初の一歩であり、対応をしっかりしていくことが重要になります。
三重県における電子制御装置認証の取得は順調に進んでおり、今後、本年10月の新点検基準施行に向け、県下の全ての指定整備事業場の認証取得を早期に進め、指定業務に支障をきたさないよう取り組むこととしています。
杉山智彦会長(静岡) 近い将来、スキャンツールを活用した診断、整備、修理の需要が急速に拡大すると予想されています。業界としても顧客の需要に応え、的確なサービスを提供する観点から、不断の技術の向上が求められており、電子制御装置の整備技術の習得と、その認証取得に積極的に取り組まなければなりません。
また、OBD検査導入も確定し、次なる課題は自動運転への対応です。しかし、自動運行装置の特定整備を行うための情報や機器の入手、技術の習得については未だその道筋も見えず、専業整備事業者にとってハードルは高く、大きな負担となることも考えられます。
田口隆男会長(岐阜) 電子制御装置整備認証の取得は、これから整備業を営む上でマストになると考えられます。本年10月から改正点検基準が施行されることにより、スキャンツールの活用も求められます。これから車の電動化が進み、さらに自動運転も実用化されてくると、スキャンツールを使いこなすことができないと整備ができない状況になってきます。当然、スキャンツールの投資をしていることもあり基本工賃の見直しや、とくにエーミングの料金設定などが必要になってくると考えます。
田中森会長(福井) 電子制御装置整備の認証について、福井県では既に約2割の会員の方が習得されており、整備主任者資格取得につきましても順調に進んでおり、この1月末現在で全整備主任者の8割を超える方が資格を取得しております。新点検基準が施行される本年10月以降は、原則として電子制御装置整備対象車について保安基準適合証が交付できなくなるため、全ての指定工場が特定整備の認証を取得できるよう取り組みを進めたいと考えています。
(全文は整備新聞 令和3年3月10日号:4面に掲載)